No.42

Sさんの変身

妻へ=今までの分も挽回して行きたい。感謝
店長へ=やりがいが出るように考えていきたい。感謝



これはSさんが今朝私に送ってきたお二人への感謝の言葉だ。
去年の8月からSさんの意志で毎日続いている。
日曜日も祝日も仕事が休みの日も関係なく毎日だ。
もしかすると「本人へ直接伝えればいいじゃないか」と言う人もいるかもしれない。
でもメルマガの読者なら、それがどんなに難しいことなのかわかると思う。
 
 

事の発端はSさんが取り組んでいる「変身プログラム」の昨年8月の課題で、「奥様と店長に毎日感謝する」というもがあった。私としては一ヶ月の予定だったが「これは続けさせてください」と、以来今日まで続いている。
 
 
この課題を提案した時Sさんは結構な拒否反応を示された。
 
「えっ!毎日ですか?!」
 
「えっーーー!!!」
 
「感謝ですか??」
 
「ああぁ・・・、わかりました・・。」
 
と、こんな感じだった。
 
 
最初は随分苦労されたようだ。
 
「毎日感謝なんて思いつくかいなぁ・・・」と。
 
 
 
相手に対して感謝の気持ちが持てない時は、してもらっていることに気付いていないか、してもらって当然だと思っているかのいずれかが考えられ、これは正真正銘箱の中だ。
逆に自分のしていることや感情を一旦手放し相手に興味を持つことで、相手がしていることに気づきその背景を想像し感謝の気持ちが生まれる。つまりこれは箱の外だ。
 
 
毎日感謝するには当然相手に目を向けなければならない。すると気付いてしまうのだ。相手が自分のためにしてくれている様々なことに。
毎朝強制的に箱の外に連れ出されるようなもので、Sさんはそのことを実感されたのだと思う。
 
 
そして、年末くらいからメールの様子が変わってきた。これまでは自分にしてもらったことに対する感謝の言葉が多かったが、最近では上記のように感謝というよりは懺悔のような、未来に向けて決意を感じさせるような内容が多くなった。
毎朝相手に目を向けることで自分のこれまでを省みる機会にもなり、苦しい思いをされたのかもしれない。日々の中で苛立ちが抑えられず感情をぶつけてしまったり、正直になれずに後悔したり伝えたいことが素直に伝えられず、自分を責め不甲斐なさに圧倒されることもあったかもしれない。
 
しかし本来のSさんは細やかで愛情深い人だ。そして何より素晴らしいところは、自分に問題があるということに当初から気付いていたことだ。Sさんはわかっている。自分は変わる必要があるということを。
だから何度でもチャレンジする。キツくても失敗しても諦めずどうにかしてハードルを越えようとする。
 
そして今回Sさんは必ず箱の外にたどり着き、そこにとどまることができる。奥様と店長や社員を今以上に幸せにできる。なぜならそれがSさんの望みだからだ。  
7年越しの願いが叶うのはもうすぐだ。