相手は気付かないと思ってやっていること

相手は気付いていない?

きっとあなたは責任感があり積極的に課題と向き合い、上司や部下・チームワーク、部署間の連携等にも配慮し、最善の方法を模索しながら組織に貢献しているはずだ。

しかし、試行錯誤し戦略を駆使しても今現在あなたのそのやり方でうまくいっていないとすれば、何か別の方法を模索する必要があるのではないだろうか。

自身の日頃のチームに対する態度を振り返ってほしい。
部下を見下したり誘導したりして自分の思い通りに動かしたりすることはないだろうか。
困っている部下を見て「手助けしよう」と思ったが、そのくらいは自身ですべきだと見て見ぬふりをしたことはないか。
その場を取り繕うために心にもない謝罪をしたり、相手にはわからないと思って適当なことを言ってごまかしたりしたことはないだろうか?

きっとあなたはうまくやっていると思っている。
相手は気づいていなと思っているし、もしくは、そうするのは仕方のないことだと思っているかもしれない。
こうした行動をとるのは、もちろんあなただけではなく、多くのリーダーや管理職、親や妻・夫、その他ほとんどの人たちがしていることだ。
もしあなたが、これらの些細な行為による大きな悪影響について知っていれば、もっと違った方法を選択することができるはずだ。

問題を抱えている人は、問題を抱えていることに気付けない

まず考えてみたいことがある。
「問題を抱えた人は、自分に問題があるということに気付いていない」ということについてである。
あなたの周りの厄介な人たち。無責任でチームに悪影響を及ぼしていると考えられる彼ら彼女らは、自分たちに問題があると感じているだろうか。

きっと答えは「NO」だろう。

もし気付いているとしたら、あなたも悩んだりしないし、もっと良好な関係性ができているはずだ。
しかし、今回考えたいことは、あなた自身のその可能性についてだ。
つまり、もしかするとあなたも相手と同じように問題を抱えているのに、そのことに気付いていない可能性があるのではないか、ということについてである。

感じるチカラ

過去を振り返って思い出してほしい。
妻や夫・子供あるいは部下や上司などから「ごめんなさい」と謝られた経験があるだろう。その時「本当は謝る気なんかないだろう」とか「口先だけで言われても」などと感じたことはなかったか。
あなたが部下に何かを頼んだ時、相手は「はい」とか「わかりました」とか返事をしているのに、「わかってないな」とか「嫌々だな」と受け取ったことはないだろうか。
なぜその時、あなたは相手の言葉をその言葉の通りに受け取ることができなかったのだろう?
・口では「ごめんなさい」と言いながら心の中では自分の方が正しいと思っているのを感じたから?
・本当はやりたくないんだけど、上司だから仕方なく引き受けたということがわかったから?
相手のそのような態度を、あなたはどう感じたか。度々そんな態度をとる相手との関係は、どんなものだったか。
相手の言葉がその通りに受け取れないということは、あなただけでなく多くの人が経験しているし、それ程まれな出来事ではない。

このことから言えることは“人には感じる力がある”ということ。
行動や言葉そのものではなく、どんな気持ちでそれをしているのか言っているのかを、感じることができるということ。もっと言えば“言葉の裏に隠された本心を見抜くことができる”ということ。

だからあなたも口先だけの謝罪には腹立たしさを抱くだろうし、「はい」と返事をされても任せる気にはなれない、ということがあるのだ。

もし、本心がバレているとしたら・・・

冒頭の話に戻ってみよう。
相手にはわかるはずがないと思ってしている、あなた自身の日頃の些細な行動について考えてみる。
心では”まぐれだ”とか”大したことはない”と思いながら相手を褒めたり、厄介な奴だと思いながら優しい言葉をかけたりする。これらの心とは裏腹の行動は相手にどんな印象を与えているのだろう。
人はあなたが感じるように外見上何をしているかではなく、心の中で自分のことをどう思っているかに反応しているとすれば、相手には何が伝わっているだろう。

あなたが施しているあらゆる施策(行為・行動)が効果を発揮していないとすれば考えてみる必要がある。
「あなたは心で相手をどう思っているのか」を。
心で思っていることを相手が感じ取ってしまうのであれば、あなたが相手をどのように思っているかはとても重要なことだ。

そもそも上司や部下、妻・夫はあなたにとってどんな存在なのだろう。
成長を願ったり心配したり、大切にしたいと思う存在なのだろうか。それとも面倒で役に立たない、煩わしい存在なのだろうか。
例えば部下のことを後者のように思っている場合、相手が何か大きな成果を上げたとしたら、素直にそれを認めてともに喜ぶだろうか。それとも見下した態度で成果を軽く扱ったり、浮かれないように注意するだろうか。
相手があなたにとって後者のような存在の場合、あなたはあらゆる場面で相手を否定し失敗を大げさに受け取り、成果に見合った評価をせず、過少に見積もったり見下したりしている可能性がある。
「成果はきちんと評価している」というかもしれない。しかし、そもそもあなたが相手を後者のように思っていたとすれば、その行為はその通りには伝わらない。

相手はあなたにとって、何かをするのに便利なモノか、あなたの邪魔をする障害物かどうでもいいモノか、脅威か。
あなたはそんなフィルターを通して相手を見ているのかもしれない。
それによって相手を見る目に歪みが生じている可能性が非常に高い。

部下はあなたからこんな印象(見下されている?馬鹿にされている?)を度々受け取っているとしたら、仕事に対する責任感やノルマに対するモチベーションはどのように変化すると考えられるだろう。
もっと頑張らなくては!と思うだろうか。それとも・・。
あなたの行為は部下にどのように影響していると言えるだろう。チームにとってプラスなのかマイナスなのか。
相手を前者のように思って接する場合とでは、相手の反応やチームの成果にどんな違いがあるだろう。

まとめ

1.問題を抱えた人は自分に問題があるということに気づけない。
(言い方を変えれば、自分が正しいと思える時ほど完全に正当化されているので自身の過ちに気づけない、という可能性がある。)
2.相手が感じ取るものは外見上何をしているかではなく、心の中で自分のことをどう思っているか。それに反応している。
3.あなたの部下や周りの人を見る目は歪んでいる可能性があり、それによって相手のモチベーションに悪影響を及ぼしている。