No.32

変わる必要があるのは自分以外の人?

組織をもっと良くしたいと考える時、
売上げを上げたいとか顧客満足度を向上させたいとかでもいい。
最初にすることは、
誰が変わる必要があるか、もっと努力すべきなのは誰なのかを探すこと。


Aさんがもっと積極的になってくれたら
Bさんが気配りをすれば
Cさんはより一層の向上心が必要 とか。

この手法は自分も含めて、相手と共に成長しようとする時にのみ有効な手段である。
そうでなければ、もし物事がうまく進まない時、
その原因は
Aさんが消極的で、Bさんの気配りが足りず、Cさんの向上心がなかったから、
となってしまう。
失敗することもその原因も、やる前から決まってしまっている。


「実はチームメンバーには、まだ発揮されていない素晴らしい才能がある」、
と考えることはあるだろうか。
もし自身が多くの時間をメンバーの欠点を探すことや、
非難することに使っているとしたら、
組織が良くなることより、そうではない逆の結果を望んでいる可能性が高い。


できの悪い部下は自身の存在価値を高めてくれるし、
懸命に努力しているが報われない被害者を演じるには、都合のいい存在であるから。

そうはいっても、クリアすべき課題はあるし目標も達成しなければならず、
今すぐにでも何とかしなければならない状況なのかもしれない。

こんな時、何に取り組めばいいのか。


アービンジャーが提案する方法は、
自分の変化の影響力によって他の人を動かす方法である。
もし、自身が実行する立場だとしたら、
信頼できない相手から定められた施策に従って強制的に行動を求められる場合と、
思い改まったリーダーの様子を感じ取り真摯な姿勢を垣間見た時と、
どちらがやる気になるだろう。

口だけで行動が伴わない人の言葉は誰も信じない。
他の人に影響を与えるものは、自分の変化、つまり自分の成長なのだ。

成長は変化である。

もっと言えば、
自分が変わった分だけしか相手に影響を与えることはできない。


『自分も変わったのだから、相手も変わるべきだ、と思うかもしれない。
しかし、自分が思うほど変わってはいないのだ。』
~Choiceセミナーテキストより~


状況を変えたいと望むのであれば、
最初にすべきことは自らが変化し成長することである。
それが難しいと感じるなら、
チームメンバーにとっても同じように難しい課題なのだ。
同じく難しい課題に共に取り組むことによってのみ、
相手が直面している葛藤や苦しみを知ることができる。
それをどう受け止めサポートするかがリーダーの役割であるべきだ。


外向きの心の持ち方になれば、
相手に対して自然と「何かしたい」という気持ちが湧いてくる。
何をすべきかが感じられるのだ。
これが相手を人として見ているときの本来の姿である。


万が一、自身が箱の外にいるとしても、
相手の変化をただ待っているだけでは、
いずれ箱の中へ戻ることとなる。
箱の外の世界は「行動」によってもたらされ、
「行動し続ける」ことによって居続けることができる場所なのだから。