No.49

コールセンターを改革する~その4~

コールセンターではエスカレーションという仕組みがある。
コミュニケーターは分からないことがあると札を上げて
管理者(リーダーやスーパーバイザー)を呼んで質疑をし、
判断してもらったり回答を出してもらうというものだ。


当然のようにどこのセンターでも行われている。


だが見方を変えるとこれは共依存の関係が成り立っている。
管理者を質問に答えるという役割にとどめ
コミュニケーターには聞けばわかるという環境を提供して自立を妨げ、
お互いが相手の成長を阻害している。


このような運用が定着しているせいで、
周知事項や研修でさえも込み入ったことは理解できるまで説明することをせず
「分からないことは管理者に手上げして聞いてください」と簡略化される。
これでは管理者のエスカレーション対応を増やし続け、
コミュニケーターには「聞けばいいや」という認識を今以上に強くすることになる。


その結果、コールセンターの管理者は
1日のほとんどの時間をエスカレーションの対応に費やすことになる。
そうなれば一体誰が判然と横たわる問題を解決するのか。
誰が新人のサポートをするのか
誰が既存メンバーのステップアップを担うのか
誰が課題を抽出し解決へ向けて動くのか
誰がツールを見直したり必要な資料を準備するのか
誰が離職者を減らすために何をすればいいかを考え実行するのか
誰が効率を上げるための具体的な施策を考え展開するのか


きっとこれらは誰も手を付けることができない。


そもそも本来管理者に担ってもらいたい役割は、質疑に明け暮れ1日を終えることだったのか。
コミュニケーターに求めるのは判断を人任せにし責任を放棄するような働き方なのか。


本当なら管理者はわかりやすく説明しコミュニケーターに理解させ、
質疑を減らして自己解決できるようにすることが望ましいはずだ。
それができれば質疑に要する保留時間が短くなり必然的に生産性は上がるし、
管理者は質疑に割かれていた時間をこれまでとは別のことに使えるようになる。
例えば、
新人のサポートをしたり
既存メンバーのステップアップを担ったり
課題を抽出し解決へ向けて動いたり
ツールを見直したり必要な資料を準備したり
離職者を減らすために何をすればいいかを考え実行したり
効率を上げるための具体的な施策を考え展開したりすることができる。



これらを日常にすることはとてつもなく大きな変革だが、
それでやっとスタートラインに立てたにすぎない。
未来が見えてくるのはその後だ。