No.46

コールセンターを改革する

インバウンドコールセンターでは、
コミュニケーターが自立できない仕組みを確立しているところがある。
センターを運営する際に最重要とされるのはコストと効率。
1部屋に一番たくさん人が入るように机が並べられ、
わからないことがあれば手を上げて管理者へ答えを出してもらい、
自分で考えたり工夫したりする余地はほとんどない。

仕事は単調で今日していることは去年の今日と同じで、来年の今日していることもきっと今日と変わらない。
成長も変化もない毎日に「この仕事、誰でもいいんじゃない?」という疑問がわく。
ヤリがいが感じられないのだ。

誰でもいい仕事なら別にここで働く意義を見いだせないし、
それなら少しでも時給がいいところへと転職していく。
実際、コールセンターの定着率は恐ろしく低い。

定着率が悪ければ採用・研修コストがかかり、
人の入れ替わりが激しければセンターの業務も習熟しない。
その結果、クライアントはいつまで経ってもレベルが上がらないことに不満を募らせ、
クライアントの信頼を獲得できず厳しい要求を受けるようになる。

その要求は現場の目標や就業ルールにまで影響し負荷をかけ、
コミュニケーターは更にヤル気をなくしてしまう。

永遠に続く悪循環だ。

どうすれば良い循環へ変えられるか。

指示を仰ぎ管理者へ判断をゆだねることは効率的かもしれないが、
自分で考えない・判断しないという状況は無責任を生む。
言われたことだけをやればいい、結果は気にしない、
電話だけとっていればいい、他のことは考える必要はない、
気付かぬうちに長い年月をかけてそんな意識を育ててしまっている。

この運用では、得られる利益より被る不利益の方が大きく、
結果的に個人の主体性とヤル気が奪われ、コストがかさみ効率が悪くなっている。
多くのコールセンターの管理者はコミュニケーターを信頼していないが、
意外と状況をよく理解しているしアイデアを持っている。

自分たちの業務をより良くする責任と、それを負うための発言の機会や
ミーティングをしたりスキルアップについて意見交換したり、
長期的な計画を立てて未来を共有したり行動を修正する時間を与えることで、
現場に則した改善策がうまれ、それを実行し成果をだそうとする意欲が湧いてくる。

それによってヤル気と主体性を取り戻し、
結果、生産性の向上とコスト削減が実現できる。