No.45

お客さん、怒ってる?

コールセンターでのお客様対応中に難しい判断を迫られる時、管理者がオペレーターにこの質問をすることがあります。結構あると思います。
この質問によって何を確認し、得られた答えから何を判断するのでしょう。

恐らく、
怒っている→管理者が早急に対応
怒っていない→オペレーターが通常対応
となるのでしょう。

もし、状況に関係なくお客様の怒りの度合いで対応速度や対応内容が変わるなら、しかも怒った方が良い譲歩を引き出せるなら怒りをぶつけた方がいいんじゃないか?!と思う人が出てきても当然のように思うのです。つまり「ごねれば要求が通る」とか「強く言えば聞いてくれる」とか。さらに、一次対応と二次対応でルールが違うとなれば「上司に変われ」と詰め寄る人も増えることでしょう。

このような事象は20年前に比べると明らかに増えている印象があり、それはコールセンター側にもその原因の一端があるように感じてなりません。
・センターの手違いで商品が届かず、大変ご立腹でお電話してきた方
・センターの手違いで商品が届かず、穏やかにお電話してきた方
現状上記の場合、前者の方は緊急対応で後者は後回しになる傾向にあります。


ここで考えたいのは後者の対応です。状況は違いますが、「お客様が困っている」ということには変わりありません。
外向きのマインドセットで働いている場合、怒っていてもいなくてもお客様の「早急に何とかして欲しい」という要望に目を向けることができます。その結果、後者の場合でも迅速に対応されることでしょう。しかし、自分のしなければならない対応や処理の煩わしさに心を奪われ内向きのマインドセットになると、どう面倒のないように仕事をするかが判断の中心となり「怒ってなければゆっくりでいいや」と後回しにしてしまう可能性が高くなります。
その結果、せっかく穏やかに連絡をくださったのに、後回しにして時間をかけることで対応が難しくなることは多々あります。そしてそのような対応しかしてもらえないお客様の不満が、前者のような姿に変貌してしまうのではないかと思うのです。
コロナ禍の影響もあり通販で物を買う人が増え中には不慣れな方もいて、コールセンターの対応内容は多岐にわたり煩雑化しています。物量が増えれば配送遅延も発生するし誤配や品違いも増え、いたるところにトラブルの可能性が潜んでいます。
難しい対応は誰にとっても苦痛で、心身ともに負荷が大きくなります。長年かけて浸透してしまった「ごねれば要求が通る」というような感覚を、時間はかかりますが軌道修正することで、オペレーターのストレスは随分軽減されると考えています。